蘇った奇跡のコラボストーリー、再始動

様々な奇跡の上に成り立った作品


「運命の赤い瞳」(以下、運赤)と名付けたガンダムSEED DESTINYと東方Projectのコラボ作品は、2011年頃公開した作品になります。運赤は当時私がサッカーをしていた頃に右足を折ってしまい、暇な時間を潰すために作りだした作品でした。同人小説の「運命の赤い瞳スペシャルエディション」(以下、運赤SE)は、運赤の時の設定や展開に内心納得していなかった所を見直すために作った、いわば「リメイク」の作品に当たります。故に、物語として二作品は繋がらず、SE版は「新訳」の作品ということになります。この作品の同人小説化に辺り、様々な難点を予想していました。その最もたる問題が双方の作品に理解があるイラストレーターを探すことでしたが、動画時代にお世話になったういらあくる様にアプローチを取ってみた所、快諾していただけました。そこからは事前に予想していた同人活動においてネックになる点もどんどん解決していき、2016/12/29、ついに初同人誌即売会となるコミックマーケット91に参加することができました。コミケも抽選制なので、正直当たらなければその後の即売会も出るつもりはありませんでしたが、無事当選。この奇跡的なタイミングで作品が送れたのは、「きっと幻想郷の早苗さんあたりが奇跡を起こしてくれたのかなー」って思っています。

ういらあくる様が描いてくださった表紙イラスト。正直私が考えた作品のイラストが実現できるとは思ってもいませんでした。


運赤SE版の主人公を東風谷早苗にした理由


運赤は元々動画作品として公開した作品で、そちらでの主人公は「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」のシン・アスカでした。公開したサイトであるニコニコ動画ではシンは人気だったのもあるのか、私の動画はじわ伸びしてそれなりに知られるようになったみたいです(ニコニコ大百科まで作られることになりました)。動画版ではシンの視点から「まったく科学のない世界である幻想郷」を描き続け、2015年の動画をもって「運命の赤い瞳」は完結しました。(運赤の早苗編ENDを完全におまけ)
しかし書き終わって気づいたことなのですが、メインヒロインである東風谷早苗についてあまり内面を掘り下げられていませんでした。動画版を見てくださった方ならお気づきでしょうが、運赤は東方のキャラである早苗とガンダムのキャラであるシンのタッグの物語です。それにおいて、早苗がシンを気にする理由として決定的なものがないと思い、「書き直すなら早苗さんを主人公にして、どうしてシンに協力するようになったのか、説得力をもたせたい」と心に決めました。こうして、早苗の視点から新たにスタートする「運命の赤い瞳 Special Edition」がスタートしました。


動画版ではあんなに早苗さんはシンを気にしていたが…


動画版運赤では早苗さんは10話辺りからシンを気にしだします。それが所謂「恋」なのか、「憧れ」なのかは見てくださった方に判断をおまかせします。実は早期にそういった展開にしたのは、運赤でさっさと「モビルスーツが活躍するエピソード」が書きたかったというのが一番の理由です。運赤は10話まで東方側の設定が色濃く、11話から一気に東方星蓮船ベースのストーリーでガンダムが大活躍しました。ここまでの展開に持ってくる上で、早苗や第2ヒロインの河城にとりをシンと共に行動させる必要がありました。「動画作品なのであまり難しい展開にしても見る人が理解できないかなー」って思い、展開を単純明快に。そのストーリーの最中、早苗さんはロボットに対するあこがれと、同年代の少年に対する心配心から、ストーリーの序盤からラストまで存在感を放つキャラになりました。早苗の性格は「東方風神録の東風谷早苗」が世に出てから間もないぐらいに解釈の一つとして主流であった、「大人しめの現代っ子少女」をベースにしています。余程親しい人以外には常に敬語で、控えめな美少女…という風に設定したのは、活発な性格のにとりや苛烈な面のあるシンと対になるように心がけたからです。結果動画版の時点でファンの方々にも「こんな(清楚な)早苗さん見たことねえ!」とよく突っ込まれました(笑)(動画版をリリースした2011年頃には、すでに本家の早苗の性格はエキセントリックな面が目立ち始めていたので余計に…)

運赤SEではそういった展開を見直す面もあり、「風の少女」編では早苗がシンを、シンが早苗を理解していく物語として描いていきました。その過程でオリジナルキャラとなる高槻真というキャラも作りましたが…(後述)


動画版は初長編物語というのもあって荒削り


動画版運赤ではヒロインが多くなりすぎました。個人的にもやりすぎたかなーって思いましたが、当時出ていたライトノベルとかでも、複数ヒロインが主人公を囲むっていう展開が多くありました。運赤の設定やストーリーを考えていく上で、「ヒロインは多いほうがいいんだろうか」と半ば納得できずに展開に入れた結果、早苗さんやにとりに多数ライバルが生まれてしまいました。番外編(ある東方ヒロインとのミニストーリーを描いたもの)の数がかなりあるのもその流れでした。

しかし運赤SEでは「動画版で描けなかった早苗」の物語を書いていく以上、どうしてもキャラの削減は免れませんでした。

動画版であった、シンが椛や射命丸と戦うシーンとかを削り、SE版ではすぐに古明地さとりのいる地底界に向かうのもそうした改変の一つです。(SE版でもちゃんと椛は出ています。持っている方ならどのシーンかすぐわかるかと……)

SE版でもなるべくキャラを減らさないようにしていきたいですが、新しいキャラが出る都合上、動画版で出たキャラ全てが出演するとは限りません。ご了承ください。


「運命の赤い瞳」はダブルヒロイン?


動画版から「運赤」はシン・アスカ、東風谷早苗、河城にとりの三人が中心となって物語が進んでいきますが、これはストーリーを考えていく上で合理的にキャラを選出した結果でした。

早苗はシンと同じように幻想郷の外からやってきた少女なので、理解者に足り得るし、デスティニーの整備をする上でにとりの存在は外せませんでした(特ににとりは存在がなければこの作品そのものが破綻していた可能性が高い)。また別の機会に解説するレイ側については個人的な趣味が少し入っていますが、シン側のキャラクターについてはガンダム作品からしても東方作品からにしても、他作品をつなげる重要なキャラとして設定した経緯を持ちます。その結果動画経験者には、シンを巡って早苗とにとりが彼を取り合う風に、見えてましたでしょうが……基本的に三人は仲がいいです。(動画版後半で一悶着ありましたがそれについては別の機会に)

実は書いていた当時早苗もにとりも原作STGではほとんど接点がなく、この作品ではどういうふうに描くかかなり迷いました。今となっては公式で、早苗さんはハチャメチャなことも平気でやるお調子者で、にとりは平気でゲスいことを考える面を持つ事を描かれていますが、この作品の二人は正直あらゆる面で別物です。

早苗さんは先述した通り儚げな印象を持つ少女ということになり、にとりはやや自信家だが、心を開いた相手に対してはとっても素直な女の子になりました。元ネタは当時ハマっていた某サークルのボイスドラマCDで、その作品ではプロ声優によって早苗やにとりのキャラクターが表現されていました。そちらの方の性格面を参考にしつつ、原作設定もエッセンスとして取り入れていった結果、「運命の赤い瞳」版東風谷早苗&河城にとりが出来上がっていきました。


早苗の目の前で死んだ「しんくん」


運赤SE一巻となる「風の少女」では冒頭からいきなりオリジナルキャラクター「高槻真」が現れていきなり死にます。

この突然過ぎる展開にど肝を抜かれた人もいるかもしれませんが、これは動画版で描けなかった早苗さんの要素の代表格でした。

動画版では最終的にシンに対して親愛以上の情を向けている早苗ですが、実は根本的な動機を描けてない傾向がありました。動画版終盤になればなるほど描かなければいけない情報が多すぎてしまい、泣く泣くカットした要素が「早苗の過去」でした。

動画版の初期から早苗の過去については設定していましたが、それが公開できず、ずっと後悔していたところ、この度SE版で初披露となりました。この過去がなければそもそも早苗がシンを気にしだす理由がなくなるのですが、諸々の展開で動画版はカットする羽目になりました。高槻真の外見は「目が赤くないちびっこシン」と言った感じで、早苗の世界の「シン」として設定しています。別の世界の同一存在というわけですね。高槻真を始めとしてSE版では動画版とは異なる所を少しずつ明かしていきたいと思います。その果てに待ち受ける物語の結末は、今後リリースしていく「運命の赤い瞳SE」にて見届けていってください。